クラウドファンディングの基礎からソーシャルレンディングを理解する

非投資型クラウドファンディングは損得の先にある

現在のクラウドファンディングは、大きく「購入型クラウドファンディング」「寄付型クラウドファンディング」「融資型クラウドファンディング」「株式投資型クラウドファンディング」の四種類のクラウドファンディングにわけることができるでしょう。

クラウドファンディングというものがどのような発展を遂げていくかはこちらの想像を超えている領域の話になってきますから、今後、これらのおおまかな四種類以外の新たなクラウドファンディングのあり方も現れるかもしれません。

ですが、「現在において」クラウドファンディングには少なくともこの四種類の「型」があるのだ、ということを知っておけば、ひとまず充分であるでしょう。

この四種類のクラウドファンディングのうち、前者の「購入型」「寄付型」「非投資型クラウドファンディング」というカテゴリー、後者の「融資型」「株式投資型」「投資型クラウドファンディング」というカテゴリーに、それぞれ属することになります。

今回は、この二つのカテゴリーのうち「非投資型クラウドファンディング」に属するクラウドファンディングであるところの「購入型クラウドファンディング」「寄付型クラウドファンディング」について詳しく見ていくことにしましょう。

資本の増減をめぐる投資型と非投資型の大きな違い

「非投資型クラウドファンディング」「投資型クラウドファンディング」というそれぞれのカテゴリーを理解するためには、「投資」という言葉を軽くさらっておく必要があるかもしれません。

「投資」というのは、「資産を増加させる」ことを目的にして、現在手元にある資本を投じる活動のことを指す言葉です。ですから、「投資」という言葉は「消費」と対立するものであると考えてよいでしょう。

ざっくばらんにまとめてしまうならば、「投資型クラウドファンディング」は、クラウドファンディングを通して資金を提供することで、自分の「資本=金銭」が増加する可能性があるクラウドファンディングであり、「非投資型クラウドファンディング」は自分が投じた「資本」が減少することはあっても増加するということがないクラウドファンディングである、という風に理解することができるでしょう。

「投資」の観点からのみ見ると、「非投資型クラウドファンディング」というのは、あるいは、「消費型クラウドファンディング」と言い換えることが可能なのかもしれません。

ですが、「寄付型クラウドファンディング」という「無償の資金提供」について考えていくと、それは「投資」「消費」といった経済的な基準からは逸脱するような、まさに「非投資」としかいえない磁場が発生していますので、やはり、「消費型クラウドファンディング」ではなく「非投資型クラウドファンディング」という言葉が相応しいと私は考えております。

投資型クラウドファンディングからは得られない価値

「投資」の観点からのみ見ていきますと、手持ちの資本が減少するばかりで増加することが決してない「非投資型クラウドファンディング」は、手持ちの資本を増加させることを目的として行われる「投資型クラウドファンディング」に比べて、あまり魅力がないように感じられるかも知れません。

しかし、「非投資型クラウドファンディング」において、あるプロジェクトや組織に「資本」を投じることによって「交換」が発生する、ということを忘れてはいけないでしょう。

「非投資型クラウドファンディング」で投じた「資本」と交換されるのは、「購入型」であれば「商品」「サービス」であり、「寄付型」であれば「精神的充足」などの可視化されない「価値」ということになります。

その「商品」なり「サービス」がどうしても欲しい、あるいは、可視化されない「価値」を得たいと考えている場合、「投資型クラウドファンディング」のマネーゲームからは決して得ることができないような成果を、「非投資型クラウドファンディング」から得ることができるでしょう。

「非投資型クラウドファンディング」は、「非投資」であることにその「価値」を見出すことができるクラウドファンディングである、とひとまずいうことができそうです。

非投資のクラウドファウンディングは単なる消費から逃れうるか

完成するかどうかわからない「モノ」「サービス」に対してなされる「先行投資」という構図で見ていきますと、「購入型クラウドファンディング」というのも、広義においては「投資型クラウドファンディング」なのではないか、という考えが出てきます。

しかし、「購入型クラウドファンディング」は、この「購入型」という言葉が雄弁であるように、「先行投資=購入」なのであって、「購入=消費」であるのです。

ですから、「購入型クラウドファンディング」においては、「商品に対する購入金額を支払っている=消費」という判断がなされて、「資本を増加させる=生産」という目的のもと行われる「投資」の反対の行為にあたるために「非投資型」に分類されることになるわけです。

とはいえ、株式、不動産、債権、為替といったものと同様に、「商品」というものを「投資対象」として据えることも可能である以上、「購入型クラウドファンディング」が、純粋に「非投資型」のクラウドファンディングとしてとらえられるかどうかという線引はきわめて「曖昧」であるのかもしれません。

前述したように、「投資」「消費」という基準から逸脱しているとしか思えない「善意」「信頼」などによって行われる「寄付型クラウドファンディング」だけが、もしかすると、純粋な「非投資型クラウドファンディング」なのかもしれません。

もちろん、クラウドファンディングにおける「純粋」ということに「価値」があるかどうかは、保留しなければならないでしょう。