クラウドファンディングの基礎からソーシャルレンディングを理解する

ソーシャルレンディングの安定とリスク

「投資」の目的は、手持ちの資本を「投資」を通して増加させることにあります。

「投資」という経済活動は、手持ちの資本が投資前よりも増えれば成功、投資前より減少している場合は失敗という、ある意味では非常にわかりやすい「成否」の基準を持っています。

「成否」の基準がはっきりしている以上、その「成否」の基準にあわせて的確な手段をとれば確実に「成功」をおさめることができる。「投資」という経済活動がそのようなシンプルで明快な原理を持っていればよいのですが、そう一筋縄ではいかないのが「投資」の難しいところでもあるわけです。

「投資」というのは「不確実性」というリスクによって成立している経済活動です。

ですから、より確実に近い安定した「成功」はあっても、完璧に確実な「成功」のためのルート、いわば「打率10割」というような勝ち方はありません。

リスクの存在が、「投資」の足場をつねに不安定なものにするのです。

ソーシャルレンディングは比較的安定感がある投資

「株式投資型クラウドファンディング」「融資型クラウドファンディング」といった、「投資型クラウドファンディング」による「投資」も、それがクラウドファンディングを通した「投資」である以上、この「成否」の基準と、「不確実性」というリスクから逃れることはできません。

それを踏まえた上で、可能な限り「不確実性」を排除し、「投資」からの「リターン」の大きさよりも「成功」の確率を安定してあげていくことだけを考えていった場合、「資産運用」としての「投資」として有効な手段として浮かび上がってくるのが、「融資型クラウドファンディング=ソーシャルレンディング」ということになるでしょう。

「ソーシャルレンディング」は、世に溢れかえる数ある「投資」のなかでは、それほど大きなリスクも抱えない状態で、容易に安定した資金回収ができるという点で、大きなバクチは打てないが適度な資産運用はしたい、というやや保守的な投資家が選択肢のひとつとして活用している傾向にあります。

それほど大きなリスクを抱えない、と書きましたが、もちろん、「ソーシャルレンディング」「投資」である以上、リスクから完全に逃れるということはできません。

「ソーシャルレンディング」におけるリスクとしては、ソーシャルレンディング事業者のリスクと、融資先企業のリスク、という二つが考えられるでしょう。

悪質ソーシャルレンディング事業者に気をつけよう

まず、ソーシャルレンディング事業者のリスクですが、「ソーシャルレンディング」という「投資」の方法が近年注目を集めているために、それに付随して、いわゆる「いかがわしい事業者」の数も増えてきているという実態があります。

過去に問題がある取締役であるとか、反社会勢力に所属している取締役が事業を展開している悪徳ソーシャルレンディング事業者を相手にして「ソーシャルレンディング」を行った場合、「安定した資産回収」どころか、「融資した金額をすべて失う」というリスクを背負うことにもなりかねない。これが、「ソーシャルレンディング」の一つ目の落とし穴です。

ですから、「ソーシャルレンディング」で投資をするにあたっては、ソーシャルレンディング事業者の選択にきわめて慎重になる必要があります。この事業者であれば確実に信頼できるな、という確信を抱くまでは、投資を控えるくらいのリスク回避の配慮は持っておくべきでしょう。

投資の不確実性を象徴する融資先企業というリスク

ソーシャルレンディング事業者という落とし穴を回避することに成功したあとは、「融資先企業」というリスクが発生します。

いくら上質で信頼できるソーシャルレンディング事業者を見つけたとしても、その「融資先企業」が倒産などの憂い眼にあってしまった場合は、安定した資産回収には失敗します。いわゆる「貸倒れ」というやつですね。

「ソーシャルレンディング事業者」というリスクがある程度は自分の思考と判断で回避できるのに比べて、この「融資先企業」「貸倒れ」のリスクに関しては、それらの思考や判断を超えた、「投資」につきものの「不確実性」のリスクとなります。

「融資先企業の貸倒れ」「不確実性が色濃いリスク」である以上、このリスクに関しては、あまり使いたくはない言葉ではありますが「投資の神」というような存在によって左右されていると言わざるをえません。

ソーシャルレンディングにおけるリスクヘッジ

どれほど熟練の投資家であれ、「ソーシャルレンディング」慣れした投資家であれ、この「融資先企業」にまつわる「貸倒れ」のリスクには、つねに、不意をつかれるようにして足元をすくわれる可能性があります。

これに対する対策としては、「一点集中型」の融資ではなく、「分散型」の融資を試みる、というリスクヘッジがおそらくは有効なのではないかと思います。

信頼できるソーシャルレンディング事業者による融資先企業の懇切丁寧な説明と、それらの説明の吟味をした上で、「融資先企業」を一つに縛らずに、リスクを分散しながら融資を行うとき、「ソーシャルレンディング」という「投資」は成功率を高めてくれるでしょう。

油断は禁物ですし、リターンはやや少なめかもしれませんが、かなりリスクが少ない状態で「投資」がおこなえる「ソーシャルレンディング」は、安定した資産運用の味方になりうる可能性を秘めています。